十日町「いこて」は作品でごはん屋さん|大地の芸術祭T-309と建築めぐり

大地の芸術祭
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大地の芸術祭の作品なのに、なかに入ってご飯が食べられる。

そんな場所が十日町の本町にあります。十日町産業文化発信館「いこて/IKOTE」。

「作品って入っていいの?」「ちゃんと美味しいの?」と気になっている人に向けて、実際に上って、座って、食べてきた様子をまとめました。あわせて、すぐ近くにある十日町市博物館(TOPPAKU)・十日町情報館・市武道館の建築めぐりも、後半で紹介します。

いこてって何?大地の芸術祭の「食べられる作品」

いこては、大地の芸術祭の作品番号T-309。設計は手塚貴晴さんと手塚由比さんの夫妻です。

ただ見るだけの作品ではありません。木造2階建てのなかで、地元・十日町の食材を使った料理が食べられます。

外観をよく見ると、屋根の下に深い軒下空間があります。これは、かつて十日町の雪国らしい風物詩だった「雁木(がんぎ)」を再現したもの。雪よけのために軒を長く出した、昔ながらの通路です。

夏になると、大きな「蔀戸(しとみど)」と呼ばれる戸が上にはね上がり、壁が開け放たれて一気に開放的になります。季節で表情が変わる建物なんです。

 

中に入ってびっくり、木のぬくもりに包まれる空間

入ってまず感じるのは、木の香りと温かさ。

1階は、大きなテーブルをみんなで囲むスタイル。オープンキッチンが見えて、黄色いキャラクターがちょこんと立っていて、肩の力が抜けます。

2階に上がると、掘りごたつの席や、クッションを自由に使える小上がりがあります。大きなかまくらの中にいるような、丸い空間。子ども連れでものびのび過ごせる作りです。

いこてには「十日町に帰ってきた時、大切な人とほっと集える場所をつくりたい」という思いがあります。観光で一度行くというより、何度でも帰ってきたくなる。座ってみると、その感じがよくわかります。

 

気になるメニュー|妻有ポークと十日町の旬

看板はやっぱり地元のブランド豚「妻有(つまり)ポーク」。

ランチの定番はこのあたりです。

  • 十日町おそうざい定食(1,430円)…旬の食材を使ったおそうざい5種、リピート率No.1
  • 妻有ポークのやわらかロースト丼(1,320円)
  • 食べ尽くし御膳(1,650円)…人気No.1。いろいろ少しずつ楽しめる
  • 里山ごっつぉ 越後妻有たっぷり御膳(1,980円)

平日限定のパスタ(1,430円)や、子ども向けメニュー、越後姫(新潟のいちご)を使ったパフェやスイーツもそろっています。

僕が頼んだのは、てりやきチキン丼。香ばしく焼いたチキンに、たっぷりのタルタルと刻んだ紅しょうがのピンクがきれい。ごはんが進む味でした。

食後のシフォンケーキも、ふわふわで軽くて、コーヒーによく合います。

 

行く前に知っておきたい基本情報

  • 住所:新潟県十日町市本町5-39-6
  • 駐車場:普通車20台
  • 営業時間:LUNCH 11:00〜14:00/CAFE 11:00〜17:00/DINNER 17:00〜21:00(20:00 L.O)
  • 定休日:月曜日(ディナーは水・日も休み)

時間が変わることもあるので、ディナー目当てなら事前に確認しておくと安心です。

いこてと一緒に巡りたい、十日町の建築スポット3選

いこての木造建築が気に入ったなら、十日町には他にも見ごたえのある建物がそろっています。少し離れた一画に、博物館・情報館・武道館が同じ敷地内にまとまって建っていて、散策路でつながっています。歩いて回れるので、建築好きにはうれしいコースです。

僕が回ったのは夕方。どの建物も西陽を受けて、コンクリートや金属の表情がぐっと深くなる時間帯でした。建築目当てなら、夕暮れ前を狙うのもおすすめです。

十日町市博物館(TOPPAKU)

十日町といえば、まずここ。2020年に新築移転オープンした市博物館(2019年竣工)は、外観からして圧巻です。

火焔型土器をモチーフにした力強い壁面と、雪の結晶や織物の模様をくり返す白いパンチングメタル(小さな穴の空いた金属板)の曲面。組み合わさって、建物そのものがアートになっています。設計は石本建築事務所で、グッドデザイン賞も受賞。

近づくと、外壁の渦巻き文様が手のひらほどの大きさで一面に刻まれていて、編み物の地紋みたいでした。離れて見るとひとつの大きな絵、寄ると細かい反復。距離で表情が変わります。

館内は「雪と織物」「縄文文化」など、妻有地方の自然と歴史を3つのテーマで構成。国宝の火焔型土器が見られるのも大きな見どころです。雪に閉ざされる土地で、縄文人がこれだけ手の込んだ炎の文様を作っていたと思うと、十日町の冬の長さと、その中で育った手仕事の文化がつながって見えてきます。駐車場には大人の背丈ほどある火焔型土器のモニュメントも立っていて、入る前から否応なく気分が高まります。

 

「TOPPAKU(とっぱく)」

十日町市の「十」、博物館の「博」を組み合わせて「十博(とっぱく)」とし、親しみやすいようにアルファベット表記にしたものです。

※入館は有料。休館日・料金は公式サイトで確認を。

 

十日町情報館

「情報館」という今っぽい名前ですが、その正体は図書館です。1999年の竣工で、設計はあの内藤廣(ないとう ひろし)さん。

豪雪地帯ならではの工夫が詰まっていて、雪を融かさず屋根の上にためる「堆雪型(たいせつがた)」のフラットな大屋根が最大の特徴。雪は邪魔者として下ろすもの、と思い込んでいたので、あえて屋根に載せる発想には地元の人間でも驚かされます。プレキャストコンクリート(工場で作った部材を組む工法)で、数メートル積もる雪の重さに耐えながら、開放的な大空間も成り立たせています。

軒の裏には梁の凹凸(リブ)がびっしり並んでいて、夕方は西陽が一本ずつの溝に差し込んで、縞模様の影ができていました。

館内の本棚は、階段状に並ぶ「知のステップ」と呼ばれるユニークな造り。信濃川沿いの河岸段丘(かがんだんきゅう)や棚田の地形を思わせます。映画『図書館戦争』のロケ地としても知られる一館です。

※入館無料。開館日・時間は公式サイトで確認を。

十日町市武道館

昭和56年(1981年)建築の歴史ある武道館が、令和4年に大規模改修を終えて生まれ変わりました。所在地は西本町。

無骨なコンクリートと、ぐっと反り上がった大屋根の組み合わせ。スポーツ施設というより一個の彫刻みたいでした。この反り上がった形も、雪を滑り落とすための雪国の必然だと思うと、ただ格好いいだけの形じゃないことがわかります。

耐震補強に加え、照明のLED化、エアコンの新設、トイレの洋式化など、省エネと快適さが一気に進みました。柔道場・剣道場に加えて、空手道場や相撲場まで備えた本格派。改修時には柔道場の畳を国際規格のものに新調するこだわりようです。

地域のスポーツを支える、十日町の武の中心地。武道に親しむ人も、建築を眺めたい人も楽しめます。

※利用は事前確認を。詳細は十日町市の公式情報で。

 

まとめ|食も建築も楽しめる、欲ばりな十日町

いこては、芸術祭の作品でありながら、ちゃんと美味しいごはん屋さん。建築の面白さと、ほっとする料理を一度に味わえる場所でした。

その勢いで博物館・情報館・武道館まで回れば、十日町が「建築の町」でもあることがよくわかります。3館は同じ敷地に並んでいて、散策路をたどってのんびり見て歩けます。食べて、見て、歩いて。半日あれば十分楽しめます。

十日町に来たら、まずは「いこて」に上がって、木のぬくもりの中でひと息ついてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
See you next time!

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