白黒の格子に囲まれた部屋に、大きな立体が浮かんでいる。新潟県十日町市の松代城(まつだいじょう)は、そんな作品を城内で鑑賞できる場所です。長野市の松代城(まつしろじょう)とは別の、新潟県十日町市の松代城(まつだいじょう)です。
以前、早朝に訪れたときは開館前で、中へ入れませんでした。今回は10月16日の正午過ぎに、城内の3作品と、城山にある「手をたずさえる塔」の内部を見学。田園風景や森、道中で見つけたトンボやカマキリも写真に収めました。
この記事では、作品を見た感想と、坂道・小さな入口など、訪問前に知っておきたいことをまとめます。
松代城と手をたずさえる塔|見学前に知っておきたいこと
今回訪れた2か所は、まつだい「農舞台」フィールドミュージアムに含まれます。「手をたずさえる塔」と松代城は別の建物で、松代城内には階ごとに異なる3作品があります。
- 松代城へは、近くまで車で行っても坂道を歩きます。
- 城内は階段で移動し、2階の茶室には小さな入口があります。
- 私が調べた10月時点では、松代城・手をたずさえる塔ともに16時までです。時期によって変わることがあるので、行く前に公式で確認してください。
- 公式の作品ページでは、公開期間は2026年11月8日までと案内されています。
- 私の場合、城内の見学は約20分、手をたずさえる塔の内部は約10〜15分でした。
- 周辺の道は路面がよくない場所があります。サンダルは避けてください。
- 塔のライトアップと、内部に入れる時間は異なります。
城山全体の散策と、城内を鑑賞する時間を分けて考えると、予定を組みやすくなります。
以前の屋外作品や朝の風景については、松代城へ早朝に登ったときの記事で紹介しています。
松代城1階「憧れの眺望」|見る角度を変えたくなる白黒の空間
城内で最初に出会うのは、エステル・ストッカーの「憧れの眺望」です。
壁、床、天井まで、白黒の格子模様が続いています。中央には、同じような模様の大きな立体が、ワイヤーで吊られていました。
私には、形のゆがんだ球体のようにも見えました。部屋全体と立体の模様が重なり、平面と奥行きの境目が分かりにくくなるような、不思議な空間です。

1階「憧れの眺望」。格子の部屋に吊られた立体
意味は分からなくても、見え方が面白い
見上げたり、斜めから眺めたりすると、中央の立体と格子の重なり方が変わります。白と黒だけなのに、どの方向から見ても立体感がありました。
正直なところ、何を意味している作品なのか、私にはすぐには分かりませんでした。
それでも、角度を変えて眺めるだけで面白い。「意味を説明できるか」と「見て楽しめるか」は、別なのかもしれません。

入口から見た「憧れの眺望」の部屋
現代アートの解釈に迷う方にも、この作品では、まず自分の目で見え方の違いを確かめてみてほしいと思います。
松代城2階「樂聚第」|金色の茶室は、中にも見どころがある
2階の作品は、豊福亮さんの「樂聚第」です。室内に、金色の小さな建物のようなものが設けられています。
公式紹介では、銀箔を施した空間に、金箔の茶室を配置した作品と説明されています。1階の白黒の部屋とは、使われている色も形も異なります。
小さな入口をくぐると、色のある絵柄が見える
私は茶室の周囲を回り、外から眺めたあと、中にも入りました。
内部は金色を背景に、さまざまな色の絵柄が描かれています。外から見た茶室の姿と、中で目に入る絵柄。その違いに見ごたえがありました。

2階「樂聚第」の金色の茶室(外観)

茶室の内部。金地に色とりどりの絵柄
気をつけたいのは、入口が小さいことです。姿勢を低くして、頭や体をぶつけないように出入りしてください。

茶室の小さな入口。足元は玉砂利
松代城3階「脱皮する時」|黒い部屋の丸窓から、外の緑を眺める
3階は、鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志による「脱皮する時」です。

3階「脱皮する時」。黒い部屋と金色の台
黒い床や壁に囲まれた部屋に、金色の台があります。丸窓からは外の緑が見え、訪問時には風が通って涼しく感じました。

丸窓の向こうに、外の緑が見える
2階では茶室の絵柄を見ていましたが、ここでは窓の向こうの景色にも目が向きます。
床の凹凸と、金色の台との段差に注意
写真でも分かるように、床には細かな凹凸があります。公式紹介では、彫刻された床を足裏でも感じる作品と説明されています。
黒い壁には光や室内の様子が映り込み、部屋を眺める方向によって見えるものが違いました。
金色の台との間には段差があります。丸窓や壁を見ながら移動するときは、足元も確認してください。
手をたずさえる塔|丸い建物の内側に、絵画と高い天井
今回は、松代城へ向かう前に「手をたずさえる塔」に立ち寄りました。イリヤ&エミリア・カバコフによる作品です。
近くの駐車場へ車を停めて向かうと、訪問時は周囲の草が刈られ、丸いコンクリートの塔を見渡せました。上にはモニュメントがあり、外から見ても少し変わった形の建物です。

塔の近くにある駐車場の看板

砂利敷きの駐車場
壁に沿って絵を見て、上を見上げる
丸い壁に沿って進み、入口から中へ入りました。室内の壁には、額に入った絵画が並んでいます。

「手をたずさえる塔」を裏側から見た外観
見上げると、天井がかなり高く、上の方には縦長の窓がありました。コンクリートの壁と窓からの光が組み合わさった内部は、私には教会のようにも感じられました。

塔の内部。丸い壁に沿って絵画が並ぶ
外観からは分からなかった高さを、中に立って感じられます。絵画を眺めることと、建物の空間を見ること。その両方が印象に残りました。
夜のライトアップは、別の日に見学
以前、夜に訪れたときには、塔の上のモニュメントがライトアップされていました。写真に残したのは暖色の光で、暗い周囲に線や形が浮かび上がり、幻想的できれいでした。
そのときは入口が閉まっていて、中には入れませんでした。今回の昼の館内写真と、夜の写真は別の日に撮影したものです。

夜のライトアップ(別の日に撮影)
公式の点灯案内は日没から21時までですが、館内の開館時間とは異なります。内部も見たい場合は日中に訪れ、夜の点灯状況も事前に確認してください。冬季はライトアップなしと案内されています。
城山で出会った作品と、トンボ・カマキリ
城山の周辺では、ほかにもいくつかの作品を見かけました。少し森に入った場所、田んぼのそば、開けた場所など、作品がある風景もさまざまです。

クリスチャン・ラピ「砦61」にとまるカマキリ

手にとまったトンボ

田中信太郎「○△□の塔と赤とんぼ」
道中では、トンボやカマキリも見つけ、写真に収めました。
黒い焼き杭のような作品は、クリスチャン・ラピの「砦61」。そこにカマキリがじっととまっていました。トンボは手にとまってくれました。ポールの先にトンボの形が乗った作品は、田中信太郎の「○△□の塔と赤とんぼ」です。
城山を歩くときの注意点とアクセス
駐車場から松代城までは登り坂
公式の散策案内では、駐車場から松代城まで、きつい登り坂を歩きます。フィールドミュージアム内には道幅の狭い場所や、車の通行範囲の制限もあります。
公式の車コースでは、駐車場から松代城までの目安は徒歩約10分とされています(2026年10月27日確認)。体力に不安がある場合は、土日祝日に運行するシャトルバスで、農舞台から管理棟(松代城まで徒歩10分)まで行く方法もあります。所要時間は約7分で、フィールドミュージアム券か共通チケットが必要です。
初めて訪れる場合は、まつだい「農舞台」で地図と通行ルートを確認すると分かりやすいです。歩きやすい靴を選び、飲み物なども用意してください。
足元の注意:サンダルは避けたい
城山の周りを歩く道は、路面の状態があまりよくありません。あぜ道を通る場所があり、ぬかるんでいる場合があります。
サンダルでは行かない方がいいと思います。滑って転ばないよう、足元に気をつけてください。
クマの出没情報と、当日の通行案内を確認
城山を歩く前には、十日町市のクマの情報や現地の案内を確認してください。市は、山林などで鈴やラジオなどの音を出して行動するよう呼びかけています。
鈴を持っていれば安全が保証されるわけではありません。当日の注意情報や通行規制を優先しましょう。
開館時間・料金・問い合わせ先
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 新潟県十日町市松代・城山 |
| 松代城 | 10:00〜17:00。10月以降は16:00閉館。最終入館は閉館30分前 |
| 手をたずさえる塔 | 10:00〜17:00。10・11月は16:00まで |
| 塔の点灯 | 日没〜21:00。冬季はライトアップなし |
| 公開期間 | 2026年4月25日〜11月8日 |
| 休館日 | 火・水曜日〈祝日を除く〉 |
| 冬季の公開 | 松代城・手をたずさえる塔は11月8日まで。屋外作品は11月末〜4月末は鑑賞できません |
| フィールドミュージアム券 | 一般1,200円、小中学生600円、幼児無料 |
| 券の購入場所 | まつだい「農舞台」 |
| 案内の拠点 | まつだい「農舞台」:新潟県十日町市松代3743-1 |
| 問い合わせ | 025-595-6180 |
| 所要時間の目安(私の場合) | 松代城の城内:約20分/手をたずさえる塔の内部:約10〜15分(訪問日:10月16日・正午過ぎ) |
| 情報確認日 | 2026年10月20日 |
フィールドミュージアム券は、松代城・手をたずさえる塔を含む対象施設・作品の鑑賞券です。各施設それぞれの単独入館料ではありません。
公式の作品ページでは、公開期間が2026年11月8日までと案内されています。11月9日以降に入れるかどうかや、降雪時の公開状況は、出かける前に運営者へ確認してください。
まとめ|中へ入って分かった、松代城と塔の見どころ
今回、特に面白かったのは、作品の中へ入り、見る位置を変えられたことです。白黒の立体を斜めから眺める、茶室の小さな入口をくぐる、丸窓から外の緑を見る。それぞれ違う体験がありました。
作品の意味をすぐに理解できなくても、自分が気になる形や景色は見つけられます。坂道や入口の小ささを確認したうえで、城内の鑑賞と里山の散策を合わせて楽しみたい方に合う場所だと思います。
次に行くなら、夜の塔のライトアップをもう一度見たいです。内部は日中に入れるので、昼と夜で塔の印象がどう変わるのか、見比べてみたいと思っています。

